タイムリミットはわずか3年。
新都を造営せよ!
遷都を巡る権力争い、反対派の妨害工作、
阿部一族の復活・・・・。
史上最大の国家プロジェクトを
完遂できるのか―。
立ち退きの説得から、土地の買収、開発、建設まで。
28歳の青年が、家の再興を賭けて挑む、新都建造ミステリ。
126ページに
「それだけではありません。今の朝廷は神武天皇が大八島国(九州)から東征し、大和を支配したことによって始まっていますが、その文書にはそれ以前の倭国や大和のことが記されているそうです。これは朝廷にとってはきわめて都合が悪いことなのです」
「正統性の問題に関わることですか」
「そうです。朝廷は今、この国の歴史書を編纂し、天皇が唯一絶対の支配者であることを内外にしらしめようとしています」
405ページに
「天智天皇と百済王豊璋とは、特別のつながりがあったと聞きました。それゆえ天智系の方々は、百済再興を願っておられると」
この辺りを読むと関裕二先生の古代史の考えに共通する。
明治、近代、現代でもそうだが、都合の悪い歴史は抹殺されるということだ。
権力者に都合の悪い歴史事実は消され都合の良い歴史認識だけが後世に生き残る。
関裕二先生以外の本で百済王豊璋の名が出てくるのは珍しい。
我々が知らない古代の姿が見えてくる本を楽しみにしている。