劇団遊戯 第2回公演 楽屋 千秋楽公演を昨日観てきた。
井上ひさし先生が得意とした劇中劇のお芝居で、楽屋の日常を見せるお芝居かと思わせておいて、
主役を演じたいとの思いで成仏できない女優二人の亡霊が演じるお芝居であり、女優の内面を見せるお芝居だった。
亡霊がチェーホフのかもめだったり、いろいろ演じてくれるんだけど、プロンプターという言葉が出てきてわからず何となく観ていたけど、電子辞書を持っていたから調べると、
演技中の俳優が台詞を間違えないように、舞台の陰で台詞をつける人。だとわかり、
だからセリフがはっきり頭に入っているんだと理解した。
まだこの時点では亡霊だとはわからないんだけど、
この楽屋の主演女優のプロンプターが登場してから、この『楽屋』というお芝居が劇的に面白くなる、
怖くなる。
女優のプロンプターは精神病で病院に入院してたはずが、
枕を抱えて女優の前に現れて、私が主役よ、あなたは疲れているから病院でゆっくり休んでくださいと枕をプレゼントしようとするんだけど、気持ち悪い!こんなものいるかと受け取らない。
精神病のプロンプターと言い争っているうちに、
女優は外面と内面があってこの女優も精神を病んでいるのかなと思えてくる。
枕を抱えた女優、佐藤祐香さんが言い争っているうちに倒れて頭を打ってあの世の人となって、
劇中劇を見せてくれた女優二人と会話する段になって、二人はこの世の人ではないとわかる。
生きているうちは精神を病んで気持ち悪い、怖いと思えた佐藤祐香さんが死んで亡霊になってからのほうが普通の明るい女性に戻って安心して観ていられた。
亡霊の女優二人、小林咲子さんと堀暁子さんは普通に見えたけど、あの二人が上手いから佐藤祐香さんの枕を抱えた精神病の女優が目立つことができたと教えて頂いた。
堀暁子さん、小林咲子さん演じる女優はメイクしてはふき取り、またメイクしてはふき取りで、何を意味しているのかなと観ているとどんな役でもスタンバイオッケーです!ということだとわかった。
小林咲子さんと堀暁子さんはこのお芝居を盛り上げる重要な役だったと後で教えてもらった。
普通に観えた思えたからこそ、枕を抱えた女優、佐藤祐香さんが突出して観えたんだと教えて頂いた。
清水久未さん演じた女優はセリフが覚えられないちょっとダメな女優だけど、
そのダメな女優を完璧に演じてくれて、さすが女優だと魅せてくれた。
劇中の女優と女優である清水久未さんが一人の女優に見えて、この『楽屋』は素晴らしかった。
以前、この『楽屋』はショートショートで観たことを思い出したけど、
ペ・ミヒャンさん演出のこの『楽屋』は、女優の内面を理解させ、精神を病んだ人間の怖さをわからせ、
亡者のこの世への執着を理解することができた。
この『楽屋』は女優役の清水久未さんが主役のように見えたけど、実は四人それぞれが主役であり、
立役者だと理解した。
なんとなく前半、劇団の端役だと思わされた二人の女優、プロンプターが亡霊だったとわかる劇中劇の騙しを観て井上ひさし先生の小説、戯曲をまた読んでみようと思った。
こまつ座の井上ひさし先生作品を観てみたいと思った。
ペ・ミヒャンさんは女優よりも演出家先生が合っていると思えた『楽屋』だった。
劇団遊戯第3回公演が楽しみになった『楽屋』だった。
今回、劇団遊戯のご縁でお会いすることができた、清水久未さん、堀暁子さん、佐藤祐香さんにまたお会いできる日を楽しみにしています。
ありがとうございました。